メールマガジンアーカイブ:【生成AI活用による業務効率化の事例紹介(2)】
晩秋の候、秋もいよいよ深まってまいりました。皆様いかがお過ごしでしょうか?
金木犀の香りが街に広がるこの頃ですが、じつは金木犀には、同じ種の“兄弟木”ともいえる仲間がいます。白~乳白色の花で上品に香る銀木犀(ぎんもくせい)と、クリーム色の花でややはっきりと香る薄黄木犀(うすぎもくせい)です。機会があれば、それぞれの香りの個性をぜひお楽しみください。
さて、今回はDX導入に伴う生成AIの活用をテーマとした、OCEメールマガジン第5回をお届けします。
前回は、生成AIを活用した報告書作成・メール自動応答・議事録作成についての事例をご紹介いたしました。今回は、設備工事業のB社様の経理部門において、生成AIとAI-OCRを活用し、請求業務の自動化に取り組んだ事例をご紹介します。
AI-OCRの技術は、人工知能を活用して紙の書類や手書きの文字をデジタルデータに変換する技術で、様々な業界で業務効率化に貢献しています。従来のOCRでは難しかった、手書き文字や複雑なレイアウトの文書も高精度で認識できることが特徴です。
そんなAI-OCRを活用した企業様の事例をご紹介させていただきます。
B社様の経理部門では、請求・領収書業務において、以下の課題が挙げられていました。
・ベンダーごとにレイアウトが異なり、手入力・転記が多くヒューマンエラーが発生。
・月末、期末に処理が集中し、残業増と支払い遅延リスクが常態化。
・目視チェックと承認に時間がかかり、監査対応の負担も大きい。
上記の課題を踏まえ、AI-OCRの導入による業務改善に取り組みました。
特に、以下の4点にてAI-OCRの活用を進めていきました。
(1)取り込み・認識
・紙やPDFの書類を取り込み、AI-OCRが文字とレイアウト(表や項目の構造)を認識します。
・傾き補正やノイズ除去などの画像前処理を行い、認識精度を高めます。
・請求書番号・発行日・金額などを項目化し、手入力不要の「使えるデータ」にします。
(2)抽出・正規化
・支払先、金額、税区分、支払条件、注文番号、(PO番号)、明細(品名・数量・単価など)を自動で抽出します。
・取引先マスタと照合し、表記のゆれを統一します。(例:「㈱ABC」と「株式会社ABC」を同一として扱う、など。)
・日付形式、通貨記号、桁区切り、全角/半角などを正規化し、勘定科目や税区分の候補付与を自動化します。
(3)チェック
・発注書・納品書・請求書の内容が一致しているか(三点照合)を自動で確認します。
・同一請求書の二重登録を自動で検知します。
・必須項目の入力有無や、明細合計と請求書合計の一致を確認します。
・自動処理の基準(しきい値)を事前に定め、基準から外れたもののみ人が確認します。
(4)起票・連携
・伝票を自動で作成し、承認の流れ(ワークフロー)に回付します。
・承認後は、会計や購買の基幹システムへ自動登録します。
・人が行った修正はAIの学習に反映し、次回以降の精度を継続的に向上させます。
実際の導入効果は以下の通りです。
・処理時間を約60%削減(これまでの約1/3に短縮)
・自動起票率向上(約1.7倍に向上)
・入力ミス、差し戻しの削減(約55%削減)
・作業工数削減(月間 約90時間を削減)
・月末ピーク時の平準率(随時処理により、支払遅延リスクを低減)
・監査対応の迅速化(重要項目の自動表示と、承認や変更履歴の自動保存により検索時間を短縮)
・工数、コストの圧縮(残業・外注・紙保管の削減により、年間約1,000時間相当を削減)
・品質を標準化し、属人化を解消(誰が処理しても一定の品質を確保)
【担当者様の声】
例外だけ確認すればよくなり、現場の負担が大きく減りました。監査も根拠提示がすぐにでき、対応が楽になりました。
業務の課題を洗い出し、AI-OCRを導入することで多くの効果を得ることが出来ます。しかしながら、他DXのシステムにも関係しますが、システムはただ導入すれば良いというわけではありません。AI-OCR導入時の重要なポイントを以下にまとめます。
(1)入力品質の標準化
・入力(スキャン)品質をそろえる。 ・スキャン条件(解像度、カラー/白黒、傾き補正、余白処理など)のルールを徹底する。
・パスワード付きPDFは保護を解除し、画像埋込PDFは、OCRで読取可能な形式に変換する。
(2)例外・しきい値設計
・読取制度、信頼度:読取率が95%未満の人は確認、金額差±1円はブロックする、などの基準を明確にする。
・重複検知のキーは「請求番号+取引先+税込金額+発行日」の組み合わせで重複チェックを行う。
(3)マスタと業務ルールを整備
・表記ゆれ辞書:「㈱ABC」と「株式会社ABC」を同一企業として扱うなど。
・適格請求書番号の検証を自動化する。
・三点照合・消費税・端数処理・外貨の取り扱い等を統一し、システムに反映する。
(4)セキュリティ/法令・監査対応の徹底
・データ所在を管理し、暗号化を実施のうえ、電子帳簿保存法およびインボイス制度に準拠する。
・監査ログは、原本・抽出結果・修正・承認の差分まで完全に保存する。
このように、導入時にしっかりと確認を行うことで、導入する際だけでなく、その後の活用にも大きく影響してきます。「生成AI×AI-OCR」により、半定型・非定型帳票の読み取りから項目抽出、ビジネスルールの検証までを一連のプロセスとして高い精度で自動化できます。B社様では「例外のみ人が確認する」という運用に移行し、生産性と統制を同時に強化できました。スモールスタートで効果を確認しつつ、「PoC→パイロット→本番」へと段階的にシステムの展開をしていくことが成功への近道です。
今後も、生成AIやDX関連の最新情報や活用事例をお届けします。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。
★★コラム★★——————————————————————————-
OCEメルマガ配信でのIT雑学コラム第13回です。
今回は「インターネットの日」に関する雑学をご紹介します。
気になる方はこちら!↓
https://dxlabo.oce.co.jp/posts/post16
金木犀の香りが街に広がるこの頃ですが、じつは金木犀には、同じ種の“兄弟木”ともいえる仲間がいます。白~乳白色の花で上品に香る銀木犀(ぎんもくせい)と、クリーム色の花でややはっきりと香る薄黄木犀(うすぎもくせい)です。機会があれば、それぞれの香りの個性をぜひお楽しみください。
さて、今回はDX導入に伴う生成AIの活用をテーマとした、OCEメールマガジン第5回をお届けします。
前回は、生成AIを活用した報告書作成・メール自動応答・議事録作成についての事例をご紹介いたしました。今回は、設備工事業のB社様の経理部門において、生成AIとAI-OCRを活用し、請求業務の自動化に取り組んだ事例をご紹介します。
AI-OCRの技術は、人工知能を活用して紙の書類や手書きの文字をデジタルデータに変換する技術で、様々な業界で業務効率化に貢献しています。従来のOCRでは難しかった、手書き文字や複雑なレイアウトの文書も高精度で認識できることが特徴です。
そんなAI-OCRを活用した企業様の事例をご紹介させていただきます。
B社様の経理部門では、請求・領収書業務において、以下の課題が挙げられていました。
・ベンダーごとにレイアウトが異なり、手入力・転記が多くヒューマンエラーが発生。
・月末、期末に処理が集中し、残業増と支払い遅延リスクが常態化。
・目視チェックと承認に時間がかかり、監査対応の負担も大きい。
上記の課題を踏まえ、AI-OCRの導入による業務改善に取り組みました。
特に、以下の4点にてAI-OCRの活用を進めていきました。
(1)取り込み・認識
・紙やPDFの書類を取り込み、AI-OCRが文字とレイアウト(表や項目の構造)を認識します。
・傾き補正やノイズ除去などの画像前処理を行い、認識精度を高めます。
・請求書番号・発行日・金額などを項目化し、手入力不要の「使えるデータ」にします。
(2)抽出・正規化
・支払先、金額、税区分、支払条件、注文番号、(PO番号)、明細(品名・数量・単価など)を自動で抽出します。
・取引先マスタと照合し、表記のゆれを統一します。(例:「㈱ABC」と「株式会社ABC」を同一として扱う、など。)
・日付形式、通貨記号、桁区切り、全角/半角などを正規化し、勘定科目や税区分の候補付与を自動化します。
(3)チェック
・発注書・納品書・請求書の内容が一致しているか(三点照合)を自動で確認します。
・同一請求書の二重登録を自動で検知します。
・必須項目の入力有無や、明細合計と請求書合計の一致を確認します。
・自動処理の基準(しきい値)を事前に定め、基準から外れたもののみ人が確認します。
(4)起票・連携
・伝票を自動で作成し、承認の流れ(ワークフロー)に回付します。
・承認後は、会計や購買の基幹システムへ自動登録します。
・人が行った修正はAIの学習に反映し、次回以降の精度を継続的に向上させます。
実際の導入効果は以下の通りです。
・処理時間を約60%削減(これまでの約1/3に短縮)
・自動起票率向上(約1.7倍に向上)
・入力ミス、差し戻しの削減(約55%削減)
・作業工数削減(月間 約90時間を削減)
・月末ピーク時の平準率(随時処理により、支払遅延リスクを低減)
・監査対応の迅速化(重要項目の自動表示と、承認や変更履歴の自動保存により検索時間を短縮)
・工数、コストの圧縮(残業・外注・紙保管の削減により、年間約1,000時間相当を削減)
・品質を標準化し、属人化を解消(誰が処理しても一定の品質を確保)
【担当者様の声】
例外だけ確認すればよくなり、現場の負担が大きく減りました。監査も根拠提示がすぐにでき、対応が楽になりました。
業務の課題を洗い出し、AI-OCRを導入することで多くの効果を得ることが出来ます。しかしながら、他DXのシステムにも関係しますが、システムはただ導入すれば良いというわけではありません。AI-OCR導入時の重要なポイントを以下にまとめます。
(1)入力品質の標準化
・入力(スキャン)品質をそろえる。 ・スキャン条件(解像度、カラー/白黒、傾き補正、余白処理など)のルールを徹底する。
・パスワード付きPDFは保護を解除し、画像埋込PDFは、OCRで読取可能な形式に変換する。
(2)例外・しきい値設計
・読取制度、信頼度:読取率が95%未満の人は確認、金額差±1円はブロックする、などの基準を明確にする。
・重複検知のキーは「請求番号+取引先+税込金額+発行日」の組み合わせで重複チェックを行う。
(3)マスタと業務ルールを整備
・表記ゆれ辞書:「㈱ABC」と「株式会社ABC」を同一企業として扱うなど。
・適格請求書番号の検証を自動化する。
・三点照合・消費税・端数処理・外貨の取り扱い等を統一し、システムに反映する。
(4)セキュリティ/法令・監査対応の徹底
・データ所在を管理し、暗号化を実施のうえ、電子帳簿保存法およびインボイス制度に準拠する。
・監査ログは、原本・抽出結果・修正・承認の差分まで完全に保存する。
このように、導入時にしっかりと確認を行うことで、導入する際だけでなく、その後の活用にも大きく影響してきます。「生成AI×AI-OCR」により、半定型・非定型帳票の読み取りから項目抽出、ビジネスルールの検証までを一連のプロセスとして高い精度で自動化できます。B社様では「例外のみ人が確認する」という運用に移行し、生産性と統制を同時に強化できました。スモールスタートで効果を確認しつつ、「PoC→パイロット→本番」へと段階的にシステムの展開をしていくことが成功への近道です。
今後も、生成AIやDX関連の最新情報や活用事例をお届けします。引き続きご愛読のほどよろしくお願いいたします。
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OCEメルマガ配信でのIT雑学コラム第13回です。
今回は「インターネットの日」に関する雑学をご紹介します。
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